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  • 2014.02.15 Saturday

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作文 (2月6日)



ANDADURA HP  http://www.andadura.net/ 




8回目…新・活字ホルダーの営み(前編)



こんにちは。ANDADURAの山本です。

ついに冬も後半戦。もう少しで春到来ですね。


前回にも少し触れましたが、今回は少しイレギュラーな回です。

一緒にお仕事をさして頂いております、「新・活字ホルダー」の営みについて、

書いてゆこうと思います。それも新・活字ホルダーのメンバー(僕たちはチーム

タイプホルダーと自分たちを呼んでおります。)の3人にも登場頂くという、

豪華版な作文8回目です。そして、まとめてみると、どうも1回では収まりそうも

ないですので、次回も「新・活字ホルダー」の営みについてになります。


「新・活字ホルダー」がはじまったいきさつや、実際にお仕事させて

頂く中で感じた事に、いろいろ大切な事が含まれていると感じましたので、

『作文』にて紹介出来ないかと思い、皆に声をかけた次第です。


さてさて、チーム・タイプホルダーの皆に登場頂く前に、いろいろ説明がいりますよね。


まず、「新・活字ホルダー」とは何か?ですね。

ディレクション担当、ズアン課のスズキさんの撮った、良い写真がありますので、

実際にものを見ながら紹介してゆきますね。


sa0206-1.jpg


【新・活字ホルダー Moderne】



sa0206-2.jpg


「新・活字ホルダー」は写真のように、ホルダー内に活字を配置して使うもので、

簡易活版印刷機ですね。


それでは、何が「新」なのか?

まずは我が家にある(骨董市で購入したものです)、従来の活字ホルダー写真です。


sa0206-3.jpg


従来のものですと活字の大きさにつき、ひとつのホルダーが必要でした。

(9ポイントなら9ポイント用のホルダーといった具合に…)

活字には様々なサイズがあります。


チーム・タイプホルダーの築地活字さんの活字サンプル帳によると、


sa0206-4.jpg


(おっ!創業1919年。バウハウスと同じだ。)


sa0206-5.jpg


センチュリーオールドだと

一号、24P、二号、18P、三号、四号、12P、五号、9P、8P、6P

と11種類の大きさがあるのです。ということは、従来のホルダーだと11種類

必要なのです。

「新・活字ホルダー」だと1本で全サイズ対応なのです。

どうです?「新」ってついてるだけの事はあるでしょう?


さらに、柄がネジになっているので、ハンドプレスにも取り付け出来ます。

(ハンドプレスの取り付けに関してはご確認下さい。)


sa0206-6.jpg


sa0206-7.jpg


金属の柄ですので、ハンマーで叩いて、革にも…


sa0206-8.jpg


もちろん紙にも押せます。


そして、僕が一緒にさせて頂いておりますのは、

こちらのモデルからです。


sa0206-9.jpg


sa0206-10.jpg



【新・活字ホルダー Antik】

ルリユール(製本)の方も使用出来るように、木の柄が1本つきます。

温めて使用する際に、持ち手が熱くならないようにする為です。

古美加工された金属やハンマリングの質感がたまりません。


さて、僕はこのアンチックモデルの革袋を制作させて頂きました。


sa0206-11.jpg


sa0206-12.jpg


*ホルダー部分は【Moderne】です。


持ち運んでいろいろな場所で使って頂けるよう、お作りしました。

(いろいろ書きたいところですが、とってもボリューミーな回ですので先を急ぎますね。)


さて、ここまでで「新・活字ホルダー」がどんなものなのかお分かりかと

思いますので、チームタイプホルダーのメンバーに登場してもらいます。


まずメンバーの紹介ですが、

企画、総販売元/築地活字 平工さん

制作、販売/時間旅行舎 廣田さん

宣伝美術、写真/ズアン課 スズキさん

と個性的なお三方です。

僕は革袋制作、宣伝部長/ANDADURA 山本です。

(宣伝部長は最初冗談で名乗っておりましたが、まんざらでもないので、

今も勝手に名乗ってます。一応これも宣伝って言えますもんね。)


僕は、皆に「新・活字ホルダー」への想いを自由に書いて下さい。という

小学生の時によく聞いたような言い方でお願いしました。


まずは、横浜で活字屋さんを営む、築地活字の平工さんから


sa0206-13.jpg


↑築地活字さんにて


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築地活字 平工希一 



活字ホルダーを創ろうと思ったきっかけは、何はともあれ岳さんとの出会いによるものです。

岳さんが弊社へ活版名刺の印刷を頼みに来たとき、何気なく近くに転がっていた従来の活字ホルダーをお見せして、「けっこう欲しいという人が多いけれど、手に入れるのが厳しくてね」というと、ちょっと作らせてくださいとの返答。

直感的にこの人とはいい仕事ができるなと思いました。


それからは何かに引き寄せられるように全く新しい可能性と魅力をもった活字ホルダーの

製作が動き出しました。

より多くの人たちにこのホルダーの魅力を伝えるためにズアン課のスズキチヒロさんに

アート・ディレクション、H・Pの構築などを依頼しました。彼女のものづくりに対する

思い入れには私も頭が下がる思いでした。


山本さんとは以前から弊社の活字を購入していただき、まさかお仕事をいっしょにするとは

思ってもいませんでした。

ものづくりの思いが私たちを引き合わせてくれたのでしょう。

その他、いろいろな方々のアドバイスやご協力をいただき、どこに対しても自信をもって

提供

できる一品が出来上がったと思います。


活版ブームと言われ、すでに何年か経ちましたが冷静に考えれば、東京中心のムーブメント

のような気がしてなりませんでした。

この一つのホルダーが日本中に行き渡り、鉛活字を使って、紙に印字、箔押しに、レザーに

刻印と地方から新たな活版活字の可能性が生まれ、更に活版が根付いてくれるのであれば

幸いです。


活字ホルダーの最終目標?それはいつか岳さんが語ってくれると思いますが、

夢はおおきいですよ。今はヒ・ミ・ツ。


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平工さんは、とってもチャーミングな方です。文章もチャーミングです。

それでは、岳さんのお話が出ましたので、

早速、岳さんの登場です。


sa0206-14.jpg


↑岳さんこと、廣田さんの制作風景


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時間旅行舎 廣田 岳  



∴つづる を御覧のみなさま、はじめまして。廣田と申します。

山本さんからの嬉しい御提案により、

はずかしながら参加させていただきます。

宜しくお願いします。


山本さんとは今回、新活字ホルダー新作の制作にあたり、

共同でお仕事させていただける事になったのですが、

実は新活字ホルダーの発表当初から、まだお会いしてもいないのに、

ANDADURAのブログに、ホルダーを紹介してもらっていて、

ああ、きっとものづくり同士、物で伝わったのかな。と喜びを感じていました。

しかも山本さんは、ご自分で特注された活字ホルダーを既に所有されているという事でした。

これには驚きました。ホルダーは自分なりに追い込んで完成度をあげてはいますが、

ご自分で道具を作ったり、用意しているうえで、新しい他のものを良い。と伝える事って、

普通なかなか出来ない事だと思うし、ものづくりとして共感できる格好良い姿勢です。

そんな山本さんのアクションに、とても感動したのを昨日の様に覚えています。

新活字ホルダー発信の、嬉しいイメージとエネルギーになりました。

山本さん、ありがとう。

いずれこの良いエネルギーを、僕も他に伝播する役目があると思います。


そんな役割を預かった僕は、金属で造形を行っています。

主にモーターサイクルや自転車の外観に係わりますが、

この二輪車という機械がよく教えてくれる、

「スピード感」を形にしていこうと思っています。

このスピード感とは、ただ速さを求めることではなくて、

心地良いバランスを維持する感覚だと思っています。

低速でも、高速でも、コーナリング中でも、

スピード感を失うと二輪車は自立できなくなります。

バランスへのプロセスとしてアンバランスがあり、

入力と脱力を繰り返して、目線の方向へ進みます。


そしてこれは、人の手による文化もまた、同じ事だと思うのです。

スピード感を完全に失えば、人は生きていられないとも。

いま、時代は先の見えにくいカーブに差し掛かっている。

バランスからアンバランスへ、失速したり、衝突しないよう、

自己や社会の発した速度を、各々がコントロールして旋回するバランスへ繋ぎ、

ブラインドカーブの先を見続けて、イメージしてゆくタイミング。

そんな時だからこそ、尚更この感覚を、

道具や機械と、人が一体化する部分としても、外観としても、素敵な形にしていきたい。

そんな風に、震災後から考え始めていました。


そうしていた折、去年の夏頃。

新しい名刺を作りに入った、築地活字さんで平工さんにお会いし、

活字鋳造機を見せていただいた事がホルダー制作の始まりでした。

古く、頑丈で、遅すぎず、速すぎず。

力強いリズムで動く、その機械の雰囲気は、

広がるイメージになり、とても心地良いスピード感で僕に入ってきました。

それは、活字文化を支えてきた大きな産業構造のひとつであり、

まさに活字の生まれる瞬間。

古い産業の生み出す音で構成される楽団の、

イントロ部分を体験している。そんな感覚でした。

そして、このスピード感を伝達する道具として、

誰もが活字を扱える、ホルダーの制作に興味が湧いたわけです。


ホルダーの制作にあたっては、

日本の活字産業は、小さな火になりながらも、

築地活字さんは100年に差し掛かってゆくとお聞きし、

活字を使う新しい道具として、次の100年後にも使えるよう作りました。

このホルダーを手にとって、何かを作られる、その制作物まで、

活字の心地良いスピード感が伝わる事を旨として、形として。

これからの新しい価値観や世界観を、みなさまと見れることを願っています。


また、この場をお借りして、ホルダーを制作するに当たり、

機会を下さった築地活字さん、新参者を受け入れてくださった活版印刷業界の方々、

ご意見ご協力いただいた全ての方々、ホルダーに命名してくれた仕事仲間、

ホルダーを手に入れてくださった方々との素敵なご縁に心からお礼申し上げます。

それでは、今後とも、新活字ホルダーを宜しくお願い致します。

長々書いてしまいましたが、最後までお付き合いありがとうございました。


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なんだか、褒めてもらってます。(嬉し)はずかしです。

次の100年!というのが凄い。

最後にホームページや印刷物など、グラフィックなどのディレクション担当の

ズアン課のスズキさんです。


sa0206-15.jpg


↑スズキさん制作の印刷物たち


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広報部員 スズキ  



活字を最初に意識したのは10代の頃。

活版で印刷された宮沢賢治の古い文庫本。

その文字の美しさに惹かれました。


フリーランスになって

きちんと名刺を作ろうと思った時に

初めて活字屋さんを訪れました。


パソコンで文字を扱うのとはまるで違う。

伝達記号である文字に実際に触れる。

文字を拾ったり、文字を組んだり。

文字に質量があって、余白も「つまっている」。


活字をめぐる歴史や、

現在も使われている道具、

印刷のシステムのひとつひとつが

とても考えられていて、奥深く、知れば知る程面白い。


懐かしいだけでなく、新しい発見のつまった世界だと思います。

これからも、この技術が現役でいられるようにと願う日々です。


活版印刷から広がる人の縁も楽しいです。

2011年、春のイベントで築地活字さんとご一緒し、

秋に新・活字ホルダーを初めてみて、とてもきれいだと思いました。

作品はその人をあらわしていると思いましたし、

山本さんのお財布を拝見した時にも同じことを思いました。


先日、ANDADURAさんのアトリエで

活字ホルダー特注レザーケースの

たくさんの型紙やサンプルをみました。

多少は想像していたものの、たくさんの「試行錯誤」の跡にびっくりしました。

それぐらい山本さんのお仕事は早くて、

こちらがこうしてほしいという要望にもすぐに答えて下さるのでした。

一見シンプルでありながらも、

使い手に対する思いやりが細部まで計算されている。そんな様に感じました。

活字ホルダー、愛されていますね*


山本さん素敵なケースをありがとう。


活版印刷の道具を揃えるのは一苦労ですが、

活字ホルダーは手軽に活字を楽しめる道具だと思います。

ひとりでも多くの方が活版印刷に興味を持つきかっけとなり、

活字ホルダーに愛着をもってくださったら。

ANDADURA 山本さんの特製ケースにいれて

様々な現場に活字ホルダーをお伴させてくださいませ!


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僕がどうこう言わなくても、「新・活字ホルダー」に込められた想い

を感じて頂けたのではないでしょうか。


でも、最後にひとことだけ、

僕は、活字ホルダーについて語る時に、仕事という言葉ではなく、

営みという言葉を選んでしまいます。もちろん革袋を制作させてもらってますので、

お仕事(自戒も込めて)なのですが、僕が興味があるのは「新・活字ホルダー」という

営みについてです。


活版印刷が新聞から本などを実際に刷っていた時代も終わり、オフセット印刷の時代になる。

そして現在また活版印刷に魅せられた人が多く現れる。

そんな中で自然発生的に生まれた、「新・活字ホルダー」は活版印刷機のパーソナル化

と言って良いのではとすら思う。


もちろん、家庭用プリンターもパーソナルな印刷機です。

しかし、「新・活字ホルダー」は、使う人もある程度(というか、かなり)想像(創造?)

しなくてはならないものです。

この小さな枠の中に何を入れるのか?何が出来るのか?考えなくてはなりません。

プリンタのように、あるものを印刷するのとは少々違う。


そんな、すこし手間のかかる小さな印刷機が使われる事になるならば、

世の中は少し創造的になっているような気がする。

そんな小さな印刷機が実際に使われているところを見たら、グーテンベルクもびっくりする

だろうな。


廣田さんの表現をかりるならば、新活字ホルダー楽団の音楽は今度どんな音楽を奏でる

のだろう。

僕はその音楽を聴いてみたいのです。


今回は出来上がったものの紹介がメインになりましたが、

次回は新活字ホルダーが出来るまで、工房・アトリエ風景などイメージ中心で、ご覧頂こうと

思います。

築地活字さんの活字制作の写真や、廣田さんの制作写真、スズキさんのグラフィックなどなど…

僕は革袋で使用する革のタンナーさん(革を作るところ)に見学に行って来ました。

革が出来る工場見学記もありますので、お楽しみに、です。


最後までご覧頂きありがとうございました。


「新・活字ホルダー」に興味があります方は、

ホームページもご覧頂けたら嬉しいです。(是非!)


→新・活字ホルダーHP http://typeholder.blogspot.com/


それでは、また再来週もお楽しみに! 



※「作文」は隔週月曜日の更新となります。
 ご感想は下記mailまでお気軽にどうぞ。


手創り市





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