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  • 2014.02.15 Saturday

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週刊ロバビル 7月31日号


himaar HP  http://himaar.com/



週刊ロバビル 7月31日号



ロバビルから、こんにちは。


なにかと話題の岩国からです。

これを書いているのはまだ投票日前ですが、みなさんが読まれるときには結果が出ているはず

の、山口県知事選挙。

山口県がいま直面している問題は、米軍基地のこと、原発のこと(岩国からも近い上関町

というところに建設予定地があり、映画にもなっています)、過疎化と高齢化の進行、

地方経済や第一次産業の不振、衰退、若い担い手の不足、等々……今の日本の縮図と

いってもいい県のひとつです(青森県なども、そうですね)。

私たち夫婦は東京から越してきてまだ日が浅いため、投じる一票がないのですが……

「誰が知事になっても同じ」という言葉を、諦めの後ろ向きな意味ではなく、前向きに、

「一人ひとりが一人ひとりにできることをやっていこう」という意味で言う時代になった

ような、そんな変化を周囲にも感じている今日この頃です。


さて。

店にいらっしゃった方から、「どこの会社が施工されたんですか?」というような質問を

されることがあります。

市内の工務店に頼みましたが壁などは自分たちで塗りました、というと、かなりびっくり

されます。

きれいに塗れていてびっくり!と言われるときもありますが、それ以上に、この広さを自分

たちで!?というびっくりが大きいみたいです。

ちなみに、1フロア100平米以上あります。×(かける)3階だて、です。


壁は最初、2階の住居部分から塗り始めました。

まずは住まいをととのえておかないと、店を始めたらなかなかできなくなるだろうから、

と思って。

ところが、塗っても塗っても終わらない。

こりゃ、住居部分が終わってから……なんて言ってたら、いつ店にかかれるやらわからんぞ!

ということになり、2階の壁塗りは一時中断して1階へ。

引っ越しから3ヶ月、店のオープンからひと月ちょっとたちましたが、すべての壁や床が

塗装済みなのは1階の店舗だけ。

住まいの壁は、いまだ半分がボードむき出しのまま。

3階の工房はボード張りっぱなし、コンパネ敷きっぱなし(もうずっとこのままかも)。


ペンキ塗りは二人とも初めて。

正直、甘くみてました。こんなにたいへんだとは思わなかった。

養生だけでもたいへんな時間がかかる。

できれば2度塗りで終えたいけれど、仕上がりを見てしまうとそうもいかず(プロは4回は

塗っているそうです)。

新しく張ったボードは吸い込みが激しいので、ペンキをこまめにつけては、ちょっと押し

付けるように塗るので手首が痛くなる。

古いモルタルの壁は、まず表面にやすりをかけてこびりついたホコリなどを取り除き、

ひび割れをパテで埋める、下地剤を塗るなどの下準備にひと手間。

モルタル壁はボードと違ってほとんど吸い込まず、塗ってすぐ膜のようになるので、

ちょっと修正しようとしたらズルッと表面だけはがれて余計に汚くなったり、完全に乾くまで

時間がかかったり……。


やってみてわかりました、クロスを張るより塗装のほうが高いわけです。

そして、塗装は高いけれども、引っ越し前に2回、おもに塗装のために東京から山口へ

移動した交通費や引っ越し後も塗装にかかった日数をコストと考えたならば、プロの

塗装屋さんにお願いしたほうが割安だったかもしれない(仕上がりの差を考えれば尚更!)

とも思いました。


実際、1階の古いモルタル壁にかかろうとしたとき、夫が「やっぱり1階はプロにお願い

しようかな」と言ったことがあります。

そばにいた工務店の担当の方は、聞こえなかったのか聞こえないふりか、「塗装屋さんから

パテとか道具を借りてきてあげましょう!」と。

それで結局、予定通り全部自分たちでやることに……。

工事が終わって聞いてみたら、担当の方にもやっぱり聞こえていたそうです。

「すみません、ぶっちゃけスルーしました!いや〜、ホント言うと心配だったんですけど、

よくがんばりましたねえ」と。

今になってみれば、担当の方に「あのときスルーしてくれてありがとうございました」と

お礼を言ったくらい、たとえ割高だったとしてもたいへんでもやってよかった、と心から

思います。


なぜなら、まず、「自分たちでペンキを塗ります」と言った時点で、私たちのことを何も

知らない初対面の工務店の方に、私たちの嗜好、こうしたいと思っている店や住まいの

方向性を端的に伝えられた気がしているからです。

できるだけ費用は抑えたい、でも安けりゃなんでもいいというわけでもない。

これじゃなきゃ駄目、というこだわりはないけど、これだけは嫌、という好き嫌いはある。

例えば、スイッチプレートはプラスチックじゃなく、見える配管は塩ビじゃなく、金属の

やつですね!とすぐ察してもらえるようになったのも、ペンキ塗りのおかげだと思います。


そして、自分たちで仕上げ作業をすることを前提に“つくり”を決めていった店は、結果的に、

自分たちの身の丈の店になった、とも感じています。

また、壁にやすりをかけたり拭いたりする作業を通して、かなり古く汚れていた建物に文字

通り触れながら、徐々にこの建物への愛着が湧いてきた、ということもあります。

さらに、引っ越す前に通ったり、引っ越してからひと月半ほど作業をする間に、だんだんと、

東京から山口へ移る心の準備、新たな環境で初めての店を持つ心の準備ができていった

ような気もしています。


もし、どなたか著名な設計士かデザイナーのような方にお願いできる予算があったとしたら

そうしていたかもしれず、店も家ももっとずっとかっこよく仕上がって、「完成しました!」

と引き渡されたことでしょう。

もし、そうだったとしたら、今ごろ私たちは、どこかに不満を見つけているころかもしれない

し、まだまだここに馴染めず戸惑っている時期だったかもしれません。

店に来てくれた複数の友人から「もうずっとここで店をやっているみたい」と言われたのも、

たぶんペンキ塗りの効能。

店も住まいも、できあがった時点で完成なのではなく、使ううち住まううちにつくられていく

ものだろうと思っているので、そうだとすれば、私たちはとてもよいスタートをきれていると

感じています。


次回はそろそろ、店をオープンしてからのことを書こうと思っています。

それから、もしも疑問・質問などございましたら、どうぞお寄せください。

読者の方がどんなことを知りたいと思っていらっしゃるのか、知りたいので。


では、また来週。

ロバビルからでした。


写真上:リノリウムを剥がしたら、えんじ色のコンクリートの床が出てきた。

目地に真鍮が埋めてあってかっこいい。書店だった時代の前、種苗店として建てられた

当時の床。ホコリ止めにクリアのコーティング剤を塗りました。






※「週刊ロバビル」は毎週火曜日の更新となります。

 ご感想は下記mailまでお気軽にどうぞ。


手創り市

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info@tezukuriichi.com







拝啓_かしこ(7月28日)








今時期の夕方に子供達のいる家の前を夕方通ると、普段とは違う香りがする事がある。
香りのむこうから子供達の声が聞こえる事もある。
子供達がいるところに夏休みの残像がある。
音であったり、匂いであったり、はたまた何かの残骸であったりと。 名倉

※「拝啓_かしこ」は隔週土曜日の更新です。
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手創り市

 





たゆたう日記



連載の企画書にはお店を始めるまでの過程を、とあったので今日はそれを書きます。


わたしは元々はといえば本好きであったし、古本屋さんになろうと思っていました。

新しい本もやりたかった。―この話はここではざっくり端折りますけど、

ある日、古本屋をやるなら神保町に行ってみなくちゃよね!と思い立ち、鼻息荒く

東京行きのバスに乗り、いそいそと神保町へ向かった。はずだったのに、

たどり着いたのは西荻窪で、どうしてそうなったのかは全く記憶にないのだけれど、

わたしはここで初めて古道具と出会います。


嘘っぽくて笑っちゃうんですけど今思えば奇跡というかお告げというかお導き?だったんじゃ

ないかとかそんなふうにも思えてきたりして、不思議なことですが、

わたしは「これだ!これ(古道具)をやる!」とその時決めて、神保町へは行かずに

その後も恵比寿や目白の古道具やアンティークのお店を調べて回って家に帰りました。


その時の、古道具に出会ったときの衝撃はといえば、よくみなさんがご結婚などをされる前、

その相手に出逢った瞬間「びびびときまして」というあれのような感じではなかったかと

思っているんだけど、どうだろう、

言葉にすればしゅんと消えていってしまいそうなこの感覚ではあるけれど、

それまで、一歩踏み出すことができずに何年も悶々と鬱々としていたことが、

こんな一瞬で劇的に変わってしまうことってあるのかよ!とちょっと逆ギレするほどの、

あの出会いと、あの時の決心と、その後の覚悟がなければ今こうしてここで日記も

書いていないのだし、書いているかもだけど、

運命というのはちょっとあるのかもしれないなって、いま思った。

そしてこの(私の場合の)びびび!は、金継ぎを始める前にも感じたことでしたが、

わたしはこうゆう出会いが人生では時々あって、あるのだけれど、みなさんはどうですか、

うまく言えている気がしないけど、それがタイミングというのか、偶然は必然的なというか、

なんなんですか、そんな奇跡のような不思議なことがこう、時々不意に

我が身に起こるのが楽しくて、わたしは毎日生きてます。


ただ、成功しているわけではないので、全部が正しい道なのかはわからないです。

そもそも成功ってなんじゃいなって思うのだけど、

わたしはまた素敵なことがあればきっとそちらに行くと思う。

ほとんどが「待ち」ではあるし、何から見た「タイミング」なのかも「正しい」なのかも

わからないけど、それも含めて面白そうっていうか、どうなるんだろうあたし、っていう

ことに興味があります。(そうなのか!今気づいたわ!)


話が逸れた上にぜんぜん参考にならない話をしている気がしてならないけれど

自意識日記なので(違うよ)まぁいっか。



古道具やるって決めてからは早くて、一年ほどで店を出しました。

つづきはまた。


東京にはあれから何度も足を運んでいるけど

未だに神保町には行っていないのでした。いつか、行くかも。



頑張れ、ニッポン!


・・・・・


へえ〜と思いつつ眺め読みました今回のたゆたう日記。
神保町に行こうと思ったら西荻へ行ってしまって運命的な出会いをし今に至る。
私にとって神保町と言えば、さぼうる、ミロンガ、Janisです。
ふくしまさん、東京へ来た時には是非神保町へ行きましょう!! 名倉


※「たゆたう日記」は毎週金曜更新です。
 ご感想は下記mailまでお気軽にどうぞ。


手創り市







248note (7月25日)




こだわりの布たち。



248 nishiyaのバッグに使われる布。

既にご存知の方もいらっしゃると思いますが、

手紡ぎをして、草木で染め、手織りをして出来た布。

もちろん、私たちのこだわり、想いによって創られた布です。


今回は、その他の部分に使われている布のお話。


248 nishiyaのバッグをご覧になった方はお気づきと思いますが、

主に使用しているのはリネン素材の布です。

このリネン生地にも私たちのこだわりが随所に詰め込まれているのです。


リネンは歴史が深く、1万年もの間人々に愛され、使われてきたそうです。

主に、フランス、ベルギー、オランダなど寒い気候であるヨーロッパで作られていたとのことです。

長い長い時をかけて洗練された技術、そしてその素材の美しさ…

魅了されない要素がありません。


また、使い込むこと、洗うことにより、いっそう柔らかさを増し、シワ感が出ます。

その柔らかさ、シワ感が愛おしい風合いを生地に与えます。

この”変化”が、リネンという天然繊維の魅力であり、

私たちがリネンに惚れ込む理由の一つでもあります。


リネン=夏 と思われる方もいらっしゃると思います。

が、私たちは、そう考えておりません。

その風合い、質感、デザイン…

248のバッグは年中通して使って頂けるものです。

そう自信を持って言わせて頂きます。


天然繊維という素材の魅力。

それはいつでも傍に置いておきたいものだと思います。

使えば使うほどに柔らかくなるリネン。

自分だけの愛おしく柔らかなバッグを育ててください。



このバッグに使われたのは生機(きばた)のリネン。

生機とは織られただけの、染色など加工されていない布。

天然素材そのものの色の良さ、そして、どことなく自然の素直さを感じる。

どのように変化してくれるか楽しみな布の一つ。


・・・・・

一日遅れの 248 note の更新となりました。
更新が遅れてしまい申し訳御座いません。 名倉

※「248 note」は毎週水曜日の更新となっております。

手創り市
 





週刊ロバビル 7月24日号


himaar HP  http://himaar.com/



週刊ロバビル 7月24日号



ロバビルから、こんにちは。


梅雨が明けた途端、一気に夏が押しよせてきた山口です。

ロバビル2階・3階の窓は、47年前のスチール製。

重いうえにガタがきていて滑りも悪いので、ぐーっと力を入れて開け閉めしなくては

なりません(びくともせず開かない窓もあります)。

このスチールの窓枠が、この時期かなり熱くなることが判明!

気をつけないと、朝、窓を開けて火傷……なんてことになりそうです。


さて。

ロバビルは築47年。

私たち夫婦が昨年5月、“東京〜山口行ったり来たり生活”を始めてすぐに、歩いていて

偶然出会った建物でした。

建物があるのに、そこに「売地」と看板が出ていました。

看板にあった不動産屋へ問い合わせてみると、「建物は古いので取り壊して、更地にして

売ります」とのこと。

壊さずにそのままでよければ、どうなりますか?と尋ねたら、「取り壊しにかかる費用の

ぶんを売値から引く」と言います。

問題は、この建物がまだ使えるか、使えるとして改修にいくらぐらいかかるか、です。

地元にいる弟が知り合いを通じて工務店を探してくれ、一緒に現地を見てもらいました。

工務店の方とはそのときが初対面。

職人気質を感じさせる親父さんと、まだ若そうな息子さん。

お二人の印象から、直感で、まかせて安心だという気がしたのでお願いすることにしました。

担当は息子さんのほう。


費用をできるだけ抑えたい、と伝えると、壁はクロス張り、床は長尺シートでの仕上げを

提案されました。

「長尺シートでも、今はパッと見フローリングと変わらんのがあるんですよ」とサンプル

もたくさん見せてくれました。

「いや、それは嫌なんです。床は無垢の木で、でも一番安いのにしてください。壁は塗装が

高いなら自分たちで全部塗ります」。

こうして、床はふしの多い杉板に(3階の工房はコンパネ)、天井はオフィスなどでよく

使われる貼りっぱなしのボードに、壁は自分たちでペンキで塗ることに。

そのほかにも、窓枠の塗装、モルタルの床のコーティング、収納の造作など、基本的に表面

の仕上げや造作は自分たちでやることにしました。

ぐっと削られた見積書を見ながら、さらに「これはやらなくていいです」「これはいりません」

「これは自分たちで手配します」等々……

担当の方にはたいへんご苦労をかけたと思います。

しかも、東京と山口でのやりとり。現場のことはまかせっぱなし。

やりにくかったはずですが、電話でいろいろ言うといつも「ええですよ」と、本当によく

対応してくださいました。

壁の塗装も、便器や洗面台を設置してしまうと塗りにくくなるだろうから、と、私たちが

山口へ行ける時期に合わせて、工事の日程を調整してくれたり……。


何度かペンキ塗りなどで現場へ通ううち、初対面だった担当の方とも少しずつ、いろんな話を

するようになりました。

あるとき彼が話してくれたこと、

「自分がやらせてもらったところはやっぱり気になるんで、

車で移動するとき遠回りになっても通って見たりするんですよね。

それでお客さんが入っとったり、きれいに使われとったりしたら、やっぱり嬉しいです」。

この話を聞いて、直感は間違ってなかったなあ、お願いしてよかったなあ、と思ったのを

覚えています。


こちらへ引っ越してきてから、そして店をオープンしてから、会う方々に

「工事、長かったですね」とよく言われます。

みなさん、何ができるのだろうかと、工事の進み具合に注目されていたようです。

これは、工務店や職人さんの名誉のためにもはっきりしておかねばなりませんが、決して

仕事が遅かったというわけではありません。

「工事が途中でしばらく止まっとったじゃろう?」ともよく言われ、実際、工務店のほうには

「工事が中断しとるが、大丈夫か?」と心配して言ってこられる方もあったとか。

こちらは、私たちの名誉のためにもはっきりしておきたいのですが、決して資金繰りに困り

途中の支払いが滞って工事が止まっていたということでもありません。

予定では、工務店にお願いした工事が終わるころには引っ越して、自分たちでやる作業に

とりかかるつもりだったのですが、途中、予定外のこと、私たちにとって初めての個展を

東京で開くことが決まったため、引っ越すのが遅れてしまいました。

つまり、仕上げを自分たちでやることにしていたので、工務店の仕事は完了しているのに

工事がまだ途中のように見え、私たちが引っ越すまでその状態がしばらく続いていたので

工事が長く見えた、というわけです。


それにしても、我ながらよくやったと思います。

とりわけ、想像していた以上にたいへんだったのがペンキ塗り。

でも、やってよかったと一番思っているのもペンキ塗り。

そのあたりの話を、次回は書こうと思っています。


では、また来週。

ロバビルからでした。


写真上:引っ越し前、ペンキ塗りなどの作業中に買った工事用の照明。現在は店の照明に。


写真下:店の天井は古いボードをはがしてグレーに塗装。47年前の型枠の跡がモザイク模様のようで気に入っています。


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手創り市